斜めのまま、生きている

裏話的な八ヶ月通信、第2回。
何を書こうかと思ったのですが――

なんとか徹編20話、麻衣編20話まで来ることができました。
ありがとうございます。

note界隈では、創作大賞が熱いですね。
皆さん、すごい熱で書いていらっしゃる。
何かを伝えたい。認められたい。一発当てて有名になってやる。
きっといろんな思いがあるんだろうと思います。

それを見ていて、
ああ、自分はその熱に入れないなぁ、と感じることがあります。

何なんでしょうね。
「瞬発力」みたいなもので書けないんですよね。


例えば、徹。
彼もまた、瞬発力とは無縁です。

やる気はあるんです。
ただ、それを打ち消すメンタルブロックを抱えていて、
何かをやろうとするたびに、
ブレーキのようなものが急激にかかってしまう。

そんな彼を書いていると、現実の「熱気」との温度差を思います。


コンテストでは、おそらく「インパクト」や「劇的な展開」が求められる。
でも『八カ月』には、それがありません。

日々の暮らしの中で、
何かを掴んだり、手放したり、掴み損ねたり。

あの時の徹は、麻衣は、
どんな気持ちだったんだろう。

それが、半年後とか一年後とか、
何かの拍子にふっと思い出されるような。
そんな作りにしています。


本当は、徹には「誰かに導かれる再生」を与えたかった。
小説の中だからこそ、そんな展開もありだと思ったから。

でも彼は、そう簡単に甘えられるような人物ではなくて。
いつもどこか、斜に構えている。

多分、正面から何かを受け止めて、たくさん痛かった。
だから、斜めになった。

正面の良さを知っている。
人の温かさも知っていて、
それが手に入りにくいものということも知っている。

そんなおっさんなんですよ。


多分これを読んでいるあなたの中にも、
徹のような一面があるかもしれませんね。

もしかしたら徹も、
この創作大賞の熱気を見て
「……これは僕には無理だ」なんて言いながら、
缶コーヒーを飲み干しているかもしれません。

そして私は今日も、
「あーそっちへ行くのかぁ」また予定と違うじゃない。
と、徹や麻衣の夏の大きな一区切りに向けて、
キーボードをカチャカチャしています。


追伸:

マガジンは、現在整理中です。
noteの仕様がよくわからなくて、やっとそれっぽいアイキャッチが作れるようになりました。

読む時は、「五月の二まで読んだ」などと区切っていただくと、ストレスなく進めると思います。

中身も――
たとえば、徹がこんなところで悩んでいた時、
麻衣はこんな日常を過ごしていたのか、
というふうに、立体的に読めるようになっています。

エアコンの効いた夜にでも、
よかったら二人に会いに行ってみてください。

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