年に3回、焼きそばだけ。

《「パパすごーい」って、子どもが笑う。
たまの焼きそばに、拍手が起きる。
でも、365日のごはんを作ってる私は、
だれにも、何も、言われない。》


「たまには俺が作るよ」って、台所に立つ夫。
鉄板の上で焼きそばを炒める姿に、
子供は「パパすごーい」って言う。

たしかに、音も香りも迫力がある。
でも私は知ってる。
あのフライパンを洗うのは、私だし、
食材を切っておいたのも、私だし、
「そろそろじゃない?」って声かけたのも、私。

「俺だってやってる」
うん。やってる。年に3回くらい、焼きそば。

感謝してないわけじゃない。
でもそれが“対等”だと思われたら、ちょっと困る。

私は365日、
「焼きそばじゃない何か」を作ってるんだよ。

でも、誰も「ママすごーい」なんて言わない。
シンクに手を伸ばすと、
小さな手がスポンジを握っていた。

きっと、見てる人もいるんだな。
声にはならなくても。

このエピソードと静かに呼応する、もうひとつの物語。
👉 ねえ、これ、コーヒーのお皿だよ

コメント

タイトルとURLをコピーしました