2025-07

八ヶ月

【徹編】第二四話 甘い冒険

《知らないカフェで、知らない飲み物を頼んだ。それだけのことが、今日はちょっとした冒険だった。誰かの文章に、心が少しだけ動かされた気がして。甘さの奥に、残っていたものの話。》秋山と会ってから、もう三日か。まだ、なんかショックが抜けない。まあ、...
八ヶ月

【麻衣編】第二三話 託しただけのこと

《自分で抱えることが「責任」だと思っていた。でも、それだけじゃ、誰も育たない。手放すことは、逃げることじゃない。信じて任せることも、立派な“しごと”だと思う。》スーツの袖が、少しきつく感じる朝だった。熱気のせいなのか、気持ちの問題か。だけど...
未分類

角砂糖が崩れるとき

《雨の日って、なんとなく心までどんよりしてしまいますよね。洗濯物が乾かない、部屋がジメジメする。そんな“湿った気持ち”のまま、書いてみました。》厚い雲が、空を重くする。洗濯物が乾かない。一応、乾いてはいるのだろう。でも、さっぱりしない。タオ...
八ヶ月

【徹編】第二三話 ズレた時計

《ふいに名前を呼ばれた。覚えていない顔と、思い出しかけた声。“うまくいかなかった”という言葉を、笑いながら口にする自分がいた。それだけのことだ、と言い聞かせながら、なんでもない風景のなかで、自分の「ずれた時間」と向き合う午後。》駅前を、なん...
八ヶ月

【麻衣編】おまけの話 みたらしとお茶と、静かな夜

《ほんの少しだけ、昨日の続き。湯気の向こうにある、静かな満たされ方の話です。》お茶のいい香りがする。湯気がふわっと立つ。その湯気を、そっと気をつけて、胸いっぱいに吸い込んだ。ゆっくりと目を閉じる。からだの奥まで、やさしい香りが広がっていく。...
八ヶ月

【麻衣編】第二二話 走った!

《誰かに言われて気づくことがある。自分の変化は、自分がいちばん気づきにくい。でも、たしかに。どこかのタイミングで、足が前に出るようになったのかもしれない。そんな、ひとつの夜の話です。》「麻衣さん、ちょっと変わりましたよね」柚葉が、報告の合間...
八ヶ月

【徹編】第二二話 181

《誰かが読むなんて思っていなかった。だから、「数字」が動いた朝、戸惑って、少しだけ怖くなった。何かが起きたのかもしれない。起きたのだとしたら、それは――》朝。いつもの作業に、「ブログを開く」が加わった。コーヒーを飲みながら、カチャカチャ。「...
八ヶ月

【麻衣編】第二一話 まだ足りない、けれどある

《「足りない」という感覚は、ときに「ある」ことの証なのかもしれません。手応えがあっても、何かが抜け落ちるような午後。進んでいくために、振り返らないと決めた日。》何かが、ひとつだけ足りない。そう思ったのは、スマホを確認しているときだった。一日...
八ヶ月

【徹編】第二一話 たった"2"

──創作大賞が熱いですね。書くということには、どうしても「比べる」がついてきます。誰かに届けたい、と思って書いたはずなのに、いつの間にか──どれだけ届いたか、どう評価されたか、どのくらい数字が出たか。気づかないうちに、目的がすり替わってしま...
未分類

斜めのまま、生きている

裏話的な八ヶ月通信、第2回。何を書こうかと思ったのですが――なんとか徹編20話、麻衣編20話まで来ることができました。ありがとうございます。note界隈では、創作大賞が熱いですね。皆さん、すごい熱で書いていらっしゃる。何かを伝えたい。認めら...