2025-06

未分類

息が吸えたなら、何も言わずに、立ち去ってくれてかまいません

あの日…ここは、疲れてることに気づくのが、ちょっと遅くなっちゃった人のための場所です「前を向こう!」「自分を好きになろう!」そんな言葉があふれる中で、あなたは、もうずっと頑張ってきたんだと思います。そのことは、ちゃんと、そして静かに伝わって...
八ヶ月

【徹編】第十六話 何もしたくない日、椅子だけがキーキーとうるさかった

《何もしたくなかった椅子がうるさかったそれでも少しだけ歩こうと思った》朝から何もしたくない。そんな日もある。大きく背伸びをしても、気分はすっきりしなくて、あくびが出る。何かをしたら、何かが変わる──そんなことはわかってる。でも、動けない時だ...
八ヶ月

【麻衣編】第十五話 まっすぐで、ちょっと危なっかしいあの子へ

《明るくて、前向きで、ちょっと空回りもするあの子が、ふと静かになる瞬間がある。誰かが見ててあげないとダメな時。それができるのが、今の私――なのかな。》私、佐野柚葉 28歳 A型親と一緒に住んでます!お父さんとも仲いいし、お母さんは大好き。一...
八ヶ月

【徹編】第十五話 同じ日、それぞれの夜

《少しだけ風が強くて、少しだけ気持ちがゆるんで、少しだけ、大事なことを忘れた日。同じ日、別々の夜を過ごしたふたりの、ささやかな記録》◆ 後輩くん「まぁいいか、の午後」高瀬 凪32歳 男 O型朝はちょっと苦手。けど、母の作った味噌汁の香りで目...
八ヶ月

【麻衣編】第十四話 間に合わせの傘の下で

《お気に入りの傘があるのに、いつも買ってしまう透明なビニール傘。可愛いと思ったものを、大事にしすぎて、結局、使えないまま置き去りにしてしまうことって、ありませんか?》カフェに行った日から、何かを探しているような気がしている。あの楽しさは、な...
八ヶ月

【徹編】第十四話 雨と、川と、のり弁

《なんかだめになった日 でも、"なんか"が、なんなのかは分からなかった日でした》カタカタカタ、キーボードが調子のいい音を立てる。湿った空気が少しだけ気持ち悪い。「梅雨はこんなもんか」誰もいない部屋、ちょっと大きなひとりごと。返事もない。返事...
八ヶ月

【麻衣編】第十三話 “いつも”から少し出たら

《風が、少しだけ気持ちよかった。カフェで久しぶりに話した。“いつも”を少しだけ踏み出しただけなのに、見える景色が、ちょっとだけ変わっていた。》シャツと肌のあいだに湿った空気が入り込む。それが暑かったのか、暑くなかったのか。首筋にエアコンの風...
八ヶ月

【徹編】第十三話 苦いコーヒーと、あなたの笑顔

《調子が今ひとつだなと思う日。でも、そんな日が、決して「悪い日」になるとは限らない。思ってもみなかった出来事が、そっと訪れることもあるから。》特に理由はないけど、朝からずっと、うまく乗れていない。いつもの椅子のはずなのに、今日はなんだか硬く...
未分類

スタンプだけ返して、夜が終わる

《梅雨の夜、テレビの笑い声はどこか乾いていました。》洗い物も終わって、お風呂にも入った。梅雨の夜。湿気のある空気が、少しひんやりする。一人の時間。私はキッチンにいる。ここが好きなのか、好きじゃないのかは、よくわからない。リビングからはテレビ...
八ヶ月

【麻衣編】第十二話 言葉を浴びすぎた日

《今日は一日、言いたいことが言えなかった。》朝はまだ、ひんやりとした空気だった。寒いってほどじゃないけど、何か一枚、羽織りたくなる。街の音にも、午前中らしい余裕と慌ただしさがあって、少し活気がある。今日は、朝から調子がよかった。顔色も悪くな...